11月25日 本日は憂国忌です

私は小学生の頃に友人の誕生日に招かれると その頃に時分が読んで感動した本を プレゼントとして贈っていました。小学生の頃の友人に贈る誕生日プレゼントは プラモデルが主流だったと思います。本を渡すにしても マンガ本が普通でした。正直贈った相手が 手渡した本を読んでくれることはあまり期待していませんでした。ですが自分がもらうとしたら最高にうれしいのが本だったから 嫌われるのを覚悟の上でプレゼントしていました。
何が言いたいかと言えば 私は子供の頃から 結構な文学少年だったのではないかと言う事です。当時熱中していたのは エジソン、野口英世等の偉人の伝記やマゼラン、クック等の旅行記 「二年間の休暇」「トムソーヤ」等の少年を主人公とした小説なんかが多かったように思います。自分が凄く感動できましたから 友人にも同じような感動を味わってほしかっただけで 別にカッコを付けて誕生日のプレゼントに本を送っていたわけでは決してありません。
中学 高校の頃には 石坂洋二郎や五木寛之にはまってしまい お二人の小説は大概読みつくしたのではないかと思うぐらいです。「青年は荒野をめざす」や「青春の門」は 丁度主人公の年齢と自分がリンクしていましたから 何度も読み返していました。「にっぽん三銃士」や「鳥の歌」を読んで 自分もいずれは当てのない旅に出ることを夢みていました。高校時代 特に部活動をしていませんでしたから 土曜日のお昼に 本屋さんで文庫本を買って 土曜日の深夜までかかってその一冊を読み切る事を 試験前以外は繰り返していました。本当は文芸部にでも入って 読んだ小説について友人と語り合いたかった気持ちはありましたが 高校の文芸部なんて 文学少女のたまり場みたいなものでしたから 女の子と喋るのが苦手だった私に 入部できるはずもありませんでした。トルストイの「戦争と平和」は何度もチャレンジしましたが 結局は最後まで読み通すことが出来なくて 悔しい思いをしました。登場人物が多いし その名前が似たようなのが多くて 覚えきれなかったのが原因だと思います
一つ目の大学時代は殆ど本を読んでいませんでした。塩野義製薬に勤めていたころには 一人暮らしを始めて 寂しいのもあったのかもしれませんが いろんな作家の本を乱読していました。男の一人暮らしでしたから 勿論エロ本もたくさん買い込んで 盛んに自分を慰めていました。塩野義を退職してから二つ目の大学に入るまでは 必死に受験勉強をしていましたから 勿論のんびりと本を読む暇もありませんでしたが 岐阜大学に入学してからは やはり普通の学生との年齢的なギャップが大きく感じられて 一人寂しく小説の類を読み漁りました。特に栗本薫さんにはまってしまい 生計を立てるためにバイトに精を出していましたが 暇を見つけては一年で百冊ぐらい読んでいたかもしれません。私が読んだ作品の数が一番多いのは 間違いなく栗本薫さんです。「グインサーガ」が結局完結できなくて ファンも悔しいと思いますが 書き終えられなかったご本人の無念を想像すると 恐ろしいものを感じてしまいます。
前ふりが長すぎましたので そろそろ本題に入ろうと思います。「憂国忌」とは 三島由紀夫さんの命日の事です。1970年の本日 三島由紀夫さんが割腹自殺を遂げられました。当時中学一年生でしたが 日本が万博で湧いて浮かれていた年でしたから 尚更ショッキングな事件として記憶しています。自殺自体はそれほど珍しい話ではなかったのでしょうが 衆目を集める中見事な割腹自殺でしたから ニュースでその事件を聞いた時には 恥ずかしながら震え上がったのを覚えています。「憂国忌」とは 三島由紀夫さんの追悼集会の名称で 今年も変わらずに開かれているはずです。
何故長ったらしい前ふりをしていたかというと 私は平均的な日本人よりはたくさん本を読んでいる人間だと自覚しております。しかし三島さんの作品は一度も読んだことがありません。「潮騒」や「金閣寺」位は 本屋さんで手に取ったことはありましたが 購入して読んだことがありません。
三島さんは ノーベル文学賞の候補に挙がった位の作家さんですし 「Esquire」誌の「世界の百人」に 日本人で初めて選ばれたぐらいに海外からの評価も高かった人物なのです。日本を代表するような作家の作品を一つも読んでいない と言うのは恥ずかしい事のように感じます。同様の事が太宰治さんに関しても言えます。やはり太宰さんの名前を知らに日本人は少ないと思いますが この方の作品も一つも読んでいないのです。「走れメロス」だけは中学校の教科書に掲載されていましたから 知っていますが 自分でチョイスして読んだわけではありません。
話を戻しますが 三島さんが自殺されてから四十五年以上も過ぎた現在まで 追悼集会が継続していると言う事は その存在感がいまだ健在なのだと思います。自分はそこそこ本を読んできた人間だと思っていましたが 三島作品を読んでいないのでは 偉そうな顔は出来ないと思いますから 読みやすそうな小説を探して 読んでみようと思いました。

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